2019年5月3日金曜日

ゴールデンシャワー(3) in チェンマイ by 米澤

ゴールデンシャワー(3)

東京では桜の季節はとうに終わっている。
3月下旬から咲き始め、数週間で散っていく儚い桜花を国花としたのはなぜだろう。
短い命に無常を感じる日本人の感覚に触れるからだろうか。

タイの国花ゴールデンシャワーは、このような儚さとは無縁である。
4月から咲き始め5月中ごろまで咲く黄金花は、命の長い花に違いない。
しかもお花見に行くような、生活から離れた花ではない。
チェンマイの人々の生活に寄り添い、生活を見つめ、生活の一部として花を咲かせる。
けれど、命長い花も4週間を過ぎるころからさすがに咲き疲れてくるようだ。
よく見ると花は色の力を失い、薄らいできている。
しかし黄金花は色を落としながらも、なお散らず咲き続ける。
健気な花である。
花の命を咲き終えたゴールデンシャワーはこの時期に訪れる強い風雨に打たれると、一夜にして散る。
その日は近い。

褪せつつも
色を競わん
黄金花

風走る
黄葉は大地を
色に染め

米澤









0 件のコメント:

コメントを投稿