2020年11月23日月曜日

第三回 モンクトレールに挑戦(2) written by 米澤

『第3回モンクレールに登る』(2) 

いよいよ登り始める。
オゾンいっぱいの緑の山道が私たちを迎える。
そのふところの中に、一歩を踏み出す喜びをかみしめる。
清々しい空気を胸いっぱい吸い込んで、身も心も軽やかだ。
踏み固められた道端の枯れ枝を歩くたびに、サクッサクッと心よ音が聞こえる。
少し身体があたたまった頃、無理を避けて最初の休憩をとる。




まだみんな元気いっぱいだ。
歩きながら笑顔と話し声が絶えない。
ふだん教室で見る真剣な勉強顔とは全然別の顔だ。
途中山道を大きく遮るようにして大木の太い枝が垂れ下がっている。
そこで写真を撮っていると、1人散歩している欧米のおじさんが人なつこく笑いながら、話しかけてくる。
「この枝は前は道の上を通っていたんだが、枝が太くなりその重さに耐えきれずにこのように垂れ下がっていたんだよ。」
手振り身振りを交えた英語の説明に、みんなうなずきながら聞き入っている。





平坦な道が右に左にうねりながら続き、女性たちの笑い声が絶えない中で、1番身体が大きく丈夫そうなタイ人のトップさんの表情が苦しそうだ。
少し遅れがちなトップさんの歩調に合わせて、最後尾を歩くことにする。
やがてタク先生たちの先頭集団は、ほとんど見えなくなる。
その中でトップさんの激しい息づかいだけが聞こえる。
10分ぐらい歩いて5分休み、また歩き出すというペースですすむが、トップさんのガールフレンドは逆にいたって元気だ。
両手に持った杖を巧みに使って、苦もなく道を歩いていく。
時々後ろを振り返り、トップさんをまつ。








その笑顔に励まされて、トップさんは元気を回復する。
なかなかいいコンビだ。

「日本人はなんでみんな、こんなに元気なんですか?
ぼくは昔から車に乗ってばかりで、歩かなかったから足が動きません。」

そうボヤキながらも、トップさんは最後まであきらめなかった。
ようやく中間地点のお寺が見えてきた。
小さな竹の橋をこわごわと渡ると、渓流の流れに足や手を浸す人たちが岩場にくつろいでいる。
車で来たらしく参詣用の白い礼服を着ている。
目を転じると仏像の安置された小さな庵があり、一組の男女が瞑想をしている。




その周りには近づくことを許さないような峻厳な空気が流れていて、ふと足が止まる。
遠くから見ていても、2人の瞑想の深さが感じられるようだ。
いい景色だと思う。
疲れた身体を岩場に移し、写真を撮る。






30分の休憩の後、再び集まり全員で境内のゴミ拾いのボランティア活動をする。
境内をきれいにすることによって、自分の心もきれいにしようという試みだ。









私たちがゴミ拾いをしている姿を、若いお坊さんが熱心に見つめ、さかんに写真を撮っている。

ゴミ拾いのあとは初参加の人に、ボランティア活動の認定証を授与する。
チェンマイロングステイ財団法人を代表して、タク先生が認定証を手渡す。









ボランティア活動を終えると、いよいよ後半のモンクレールが再開される。
すっかり疲れの取れたトップさんも歩き出している。
これからしばらくきつい傾斜が続くが、みな元気そうで、今回はリタイアする人はいない。










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