『チェンマイ旧市街一周ウォーキング』(1)
朝7:30ごろ、お粥を食べにチャンプアック市場に向かっていると、知り合いの日本人青年に会う。
朝なのに身にまとった黒いスウェットスーツには汗がにじんでいる。
何故汗をかいているのか聞いたら、毎朝5時から1時間半かけてチェンマイ旧市街を一周してくるのだと言う。
血色がよく、身体も引き締まって生き生きしている。
「これだ!」
最近少し歩くと疲れて足腰の弱さを痛感してきたので、すぐに実行してみようと決意する。
旧市街一周。
1時間半。
近いし、ちょうど手頃なコースだ。しかも早朝なので空気の汚れもなく、気温も高くない。
翌朝から則実行しようと思ったが、夜遅くまで起きている習慣から朝起きられない。
1日、2日と寝坊してしまう。
ようやく3日目の朝、暑さに耐えきれず目が覚めたのが5時半。
早速着替えてスニーカーをはいて、外に出る。
足腰の柔軟体操を入念に繰り返して、いざ出発。
出発点のチァンプアック門を目指す。
チァンプアック門の前の朝市の準備は進み、路傍には屋台が並び始めている。
顔見知りの屋台のおばさんと目があって、軽くうなずいて見送ってくれる。
いよいよチァンプアック門に着く。
(2)スアンドーク門へ
チァンプアック門を右に曲がり、お堀に沿って旧市街の外側の遊歩道を進む。
歩いていると、後から走ってきた人があざやかに追い抜いていく。
けれど、お堀の静かな水面や、そこに浮かぶ赤い花のひそかな美しさは走っていては見逃すだろう、と思う。
チェンマイの町の良さは歩いてみないと分からない、ということをつくづく感じている。
歩いて初めて見えてくるものがある。
お堀の外側の道から旧市街の内側に沿って伸びるスリプン通りの細い道をたどる。
チェンマイの良さは、どこを歩いても数百年前のランナータイの遺跡が、あちこちに見られることである。
古代のチェンマイ人が息をひそめて、見守っているように感じる。
スワンドーク門に向かう道は、広くて歩きやすい。
木々の緑や、足元の草の緑が快い感触を足の裏に伝えてくる。
タマラス靴を脱いで、裸足で歩いてみることにする。
朝露をふくんだヒンヤリとした感触が何とも言えず気持ちよいと思ったのは最初だけ。
小さな小石が足の裏をチクチク刺して、歩きにくい
少し歩いて止まる。また少し歩いて止まる。
とうとう我慢できず、脱いだ靴を履き直す。
ようやくスワンドーク門に着く。
1/4を歩いたことになる。
門を眺めていると、あざやかな朱色の僧衣をまとったお坊さんが通りかかる。
すると、それまで道の足元を照らしていたライトが、一段と明るくなったように光を増した。