(3) スアンプルン門へ
スアンドーク門を過ぎると、行き交う散歩者の数も増えてくる。
托鉢する僧侶もちらほら見える。
コロナ以前は持ちきれないほどの食料品を抱えていたが、コロナ禍のもと人々の生活が苦しい現状を反映して、托鉢を入れる袋はしぼんでいる。
足早に立ち去る僧侶の姿を追うが、早くて追いつけない。
見る間に遠くなる。
道は大きくカーブしてさらに広々とした歩道に入る。
人が数人並んで歩けるような歩道には、ジョギングしている人、早足で歩いている人、体操をしているさまざまな人がいる。
ここが一番のランニングコースかもしれない。
それぞれお気に入りのスポーツウェアを着て、走ったり歩いたりしている姿は、健康そのものだ。
百メートル以上あるこのコースを通り抜けると、スワンプルン門が見えてくる。
旧市街は東西南北にそれぞれ1つずつの門で囲まれているが、南面だけ2つの門がある。
チェンマイ門とスワンプルン門だ。
スワンプルン門は死者たちを送り出したり、迎えたりする特別な門だということを、何かの本で読んだことがある。
死者の穢れを避けるために、特別に作られた門らしい。
スワンプルン門から見るお堀の景色は特に美しい。
南国を思わせる並木の間から昇る朝日は、何とも言えない清々しさを湛えている。
昼間来ても美しさに見とれて飽きがこないのは、私だけだろうか。
この風景をいつか水彩画に描いてみたいと思っている。
門を通ってしばらく行くと、急に人と車が増える。
南のチェンマイ門前の市場に群がる人々の姿だ。
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