(4)チェンマイ門へ
スワンプルン門を離れると、人のにぎわいが旧市街第一のチェンマイ門前市場が見えてくる。
車やオートバイが行き交い、車の荷台から荷物を運び出し人、買い物に思案する人、客待ち顔であたりを見回す店員。
道端にはテーブルが置かれ、軽い朝食やコーヒーを楽しむ人が、道ゆく人を優しい目で追っている。
(5) ターペー門へ
チェンマイ門を過ぎると、遊歩道を走る若い女性の姿が多くなる。
市の中心街、走りやすい道、見晴らしのよい景色。
格好のランニングコースである。
ほどなくターペー門の赤壁が見えてくる。
この赤壁を作っている煉瓦は風化し始めていて、手で触れると簡単に崩れそうである。
昇るのは禁止の看板が出ているが、見ただけで危険極まりないのが分かる。
ターペー門はチェンマイ第一の目抜き通りにあり、この門を通り抜けるとワットプラッシンに出る。
チェンマイ発展の縁起をもたらしたプラッシン仏が、この寺には安置されている。
チェンマイで有名な水かけ祭ソンクラーンは、このプラッシン仏をかついで町中を練り歩いてから開始する。
プラッシン仏は遠路はるばるスリランカからやってきた、由緒正しい仏像である。
この仏像が長旅の間に各地にさまざまな奇跡を残しながらチェンマイにたどり着く話は、一晩では語りつくせないほどある。
霊験あらたかな仏像なのだ。
ここに来る街路樹に興味が湧く。
木の枝の張り方が尋常ではない。
普通木の枝はヤシの木のように縦に伸びるか、松のように横に広がるか、その中間の縦にも横にも広がる3種類しかないと考えてあたが、その常識はチェンマイで破られる。ターペー門にいたる街路樹だけでなく、あちこちの木の枝の張り方がおもしろい。
枝がカーブを描いている。
根本から3つに分かれている。
人が身を反らせながら、手を前に伸ばしているような木の枝もある。
両手を上に振り上げて踊っているような木もある。
風の影響とは考えにくい。
風の影響なら、ほかの木の枝も同じ枝の張り方をすれはずだ。
一本だけが変な枝をしているのは、なぜなのか。
謎は深まるばかりだが、私の考えはこれは木が踊っているダンシングツリーではないか、ということである。
これについては、改めて触れてみたい。
(6) チャンプアック門へ
さすがに歩き慣れないせいか、1時間半歩き続けると足が重くなる。
始めは一歩一歩確かめるようにあるいていたが、最後には右足と左足が交互に勝手に動いているような歩き方になっている。
足の運びが機械的になる。
少し汗もにじんでくる。
握った手にも汗が浮いて、ベトベトしている。
手を開いたり閉じたりして手のベトつきを乾かしながら、ようやくチャンプアック門にたどり着く。
チャンプアック門から見るドイステープ山はことに美しい。
チェンマイ百景を選ぶとすれば、真っ先にチャンプアック門から見るドイステープ山を推したい。
チャンプアック門にそよぐ涼しい風に吹かれて、元気を取り戻す。
軽い足取りで、
いそいそと屋台のお粥に向かう。
空っぽの胃袋に、お粥の香りがしみていく。
足の疲れがとれたら、また歩いてみたい。
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